母達の聖戦:『ミッシング』『母の聖戦』『津波の霊』:行方不明の子供を探す!!



 

概要

・はじめに:流れ

・『ミッシング』

山梨県の事件、裁判

・『母の聖戦』

・メキシコの実話:ミリアムの聖戦、

・『GHOSTS OF THE TSUNANI(津波の霊)』

・震災・大川小の語り部たち

 

 

流れ:はじめに

『ミッシング』と聞いた時、コ・ス主演の韓国ドラマの事かと思いきや、石原さとみ主演の邦画、今話題の映画のことだった。

Youtubeで、冒頭の部分が公開された。そのタイトルと冒頭7分の映像で、興味を持ったので、何年かぶりに、映画館へ観に行った。

映画が終わって、照明がついたとき、無言で立つ人々、鼻をすすっている人が複数いる!おそらく涙を流したであろう人々の鼻をすする音。人々同様、私も言葉が出ない。

 

その翌々日、wowowオンデマンドで 『母の聖戦』を観た。

メキシコが舞台で、娘を誘拐された母親が命がけで娘を探す話だ。

探して行くうちに危険の中へと引き込まれていく。そして、大量殺人の遺体遺棄現場を発見する。50体以上が土の上に並んだ。

 

どうしても 『ミッシング』 とくらべてしまう。そこまで危険じゃない日本。誹謗中傷で心を痛めても即、生命の危険に更さわれるわけじゃない!

そういう意味では平和な日本、その時はそう思った。

 

 ところが、その翌日、2011年3月石巻市大川小学校の父兄たちがわが子たちを探して、泥の中から子供たちの遺体を引き上げ、並べて、瓦礫の中から拾ったシーツや服で、遺体を覆っているくだりを、私は読んでいた。なんてこった!

 イギリスザタイムス誌リチャード・ロイド・バリーのノンフィクション『津波の霊たち』(ハヤカワ文庫NF)だ。

 

 

『ミッシング』

石原さとみ演じる母:いなくなった娘を、探して、チラシを配り、マスコミに働きかけ、手掛かりを求める。

はじめは好意的だったのに視聴率のために、おかしな方向へ向かい始める報道。

疑いをかけられる弟、支える夫。

エスカレートしていく誹謗中傷。

似た立場の母:子供が行方不明の母 への支援に走る主人公。

警察と偽るいたずらによって嘘で振り落とされる、こわれていく母。

やがて、どん底から本音と小さなささえに自分を取り戻してゆく。 

 

 エリザベス・キューブラー・ロスの「喪失の5段階」はよくドラマや映画で引用される。

否認ー怒りー取引ー抑うつ(絶望)ー受容、

 この5段階はこの主人公にも当てはまり、観客は主人公と共にこの経過をたどった。

 この映画に癒されたという感想が多いのは、この5段階をへて、

人は過去と決別し、今を受け入れ、時間が動き出すからだ。

 観客はそれぞれの時間を取り戻すきっかけをこの映画で得たのかもしれない。 (映画の魔法だね!)

 

 

山梨県の少女失踪事件

『ミッシング』は実際に起こった、2019年の山梨県少女失踪事件の、誹謗中傷の騒動を、どうしても連想してしまう。

その騒動にインスパイアされた話ではないかと思ってしまう。

騒動の後、2022年に遺体の一部:肩甲骨の発見で死亡認定され、遺留品も発見されたが、まだ発見されていない遺体の部分や遺留品もあり、謎が多い。

誹謗中傷については、裁判となり、70代の男が有罪とされている。

 

 

『母の聖戦』(原題:La Civil:一般市民)

2021年、ベルギー・ルーマニア・メキシコ合作。

監督:テオドラ・アナ・ミハイ

主演:アルセリア・ラミレス

カンヌ映画祭のある視点部門、勇気賞受賞

 

 麻薬カルテルが蔓延るメキシコで、誘拐は日常茶飯事になり(推定で約6万件)、警察は当てにならない。娘は誘拐され、身代金を何度も要求され、払ったのに娘はもどらない。

誘拐された娘を探して、シングルマザーの母親が、命懸けで、危険な捜査し、犯罪を暴いていく。

元夫の愛人、元夫の親友が誘拐犯の一味だったのを突き止め、

その告白から、遺体遺棄現場を発見するが、その大量の遺体の中から、肋骨1本が娘の遺体と検視官に言われ、死亡確定される。納得できない母。

 ラストシーンで何か希望を見つけた? それは、何?と思わせてエンドクレジットになった。

 

 

メキシコの実話:ミリアムの聖戦

『母の聖戦』はメキシコで実際にあった実話だ。

 当初、監督はノンフィクション映画を撮ろうとしていたが、状況的に危険を感じてしたフィクションという形に変更させて映画を完成させた。その後も、実話の母の聖戦は続いた。

 娘を誘拐して死に至らしめた犯人一味を、自らの手で捕らえて警察に突き出した。

最後の一人を捕え引き渡した翌朝、犯罪組織の報復攻撃によって、ミリアムはたくさんの銃弾を浴びて、帰らぬ人となった。その日はメキシコの母の日だった。

 ミリアムは、生前、自分と同じ被害者のために「行方不明者支援団体」をつくった。

今はミリアムの息子がそれを引き継いでいるという。

 

 

津波の霊』

 普通の家族、こども、親達:津波で死と生を分けた家族たちの実話だ。

 なぜ、学校は津波の前に50分も校庭に児童を待機させ、小さな子どもでも5分かからずに登れる津波から守られる裏山に行かず、津波に向かって避難(?)したのか!

全部読み終えたら、改めて、取り上げようと思っているが、震災で生き残った人達のメッセージはやはりすごいと思う。

 

  

大川小学校の語り部たち

津波の霊』は実話で、実名で書かれているので、その後の彼らの姿をYOUTUBEなどで観ること、ができる。

あの時、助かった柔道が好きな男の子は「team大川」を設立。

本にある話の、子供を大川小学校で亡くした父であり、他の学校の教師だった人は教師を辞めて、大川小学校の、震災、津波語り部になっている。

 

 

どれもすごい!親たちの聖戦だ。

 

聖戦を戦い抜いた親の皆様への敬意と、亡くなった方々の冥福を祈ります。

 

青い地球が、もっと平和で、素晴らしい惑星となりますように!